Magic of Pokemon/p186

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なにもかも漫画だらけ
花森安治
『暮しの手帳』六六年第83号より

漫画は見るものである、それでさえ、テレビから雑誌からすさまじい量がまきちらされているのに、このごろは、それでも足りないとみえて、漫画とは食べるものなり、着るものなり、はくものなり、かぶるものなり、さげるものなり、持つものなりとばかり、いやはや、こども向きの商品は、どれもこれも、べたべたと漫画だらけになっている。

おやまあとあきれてばかりではすまされない

ちよつと、目についたものを、書き出してみよう。
キャンデーに漫画、ガムに漫画、チョコレートに漫画、セーターに漫画、ズボンに漫画、靴に漫画、帽子に漫画、手袋に漫画、ハンカチに漫画、ランドセルに漫画、ぞうり袋に漫画、画板に漫画、ノートに漫画、筆箱に漫画、鉛筆に漫画、消しゴムに漫画、クレヨンに漫画、鉛筆けずりに漫画、べんとう箱に漫画、水筒に漫画、箸箱に漫画、茶わんに漫画、スプーンに漫画、お皿に漫画、コップに漫画、歯みがきに漫画、石けんに漫画、シャンプーに漫画、洗面器に漫画、枕に漫画、デパートの売り場を駈け足で歩いて、ざっと目についたものだけでも、これである。もっとくわしくしらべたら、まだまだあるにちがいない。そして、オモチャに漫画である。そして、テレビのこどもの時間は、どのチャンネルをひねっても、漫画がとび出してくる。そして、こどもの雑誌は、やたらに厚くて、紙もわるく、印刷もわるく、ほとんどどの頁をひらいても、漫画でびっしりうまっている。これでは、いまのこどもは、朝目をさましてから、ずっと夜ねるまで、ひよっとしたら夢の中まで、漫画また漫画の大洪水に投げこまれて暮らしているようなものである。
これは、漫画を見るのがいいとか悪いとか、といったこととは、もっとべっの、ずっと大きな問題ではないだろうか。

漫画だけでこビもは生きているのではない

なるほど、こどもは、漫画が好きである。
しかし、こどもの好きなのは、漫画だけではない。
こどもは、動物も好きだし、草花も好きだし自動車も好きだし、飛行機も好きだし、もっといろんなものが好きである。
ところが、いまみたいでは、漫画以外のものを好きになりたくても、なるスキマがない。まるで漫画の壁にとりかこまれて暮らしているのである。
これは、どう考えても、あたりまえ、とはいえない。
漫画のついた歯みがきで歯をみがき、漫画のついたコップでうがいをし、テレビで漫画をみながら、漫画のついた茶わんでご飯をたベ、漫画のついた服を着て、漫画のついた靴をはき、漫画のついたノートに……
これは、一つの異常な風俗とはい

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