Magic of Pokemon/Appendix

From Poké Sources
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付録
各種調査委員会の動向
塚原尚人

『ポケモン』事件後、その原因と今後の対策を調査・研究するべく、それぞれの立場からいくつかの調査(検討)委員会が設置された。
「厚生省」「郵政省」「テレビ東京」「民放連」の各種委員会がそれである。
当初、構成メンバーに重複があり、メンバーの再編がなされるなど、もたついたところもあったが、三月末ごろから、中間報告なども含めて、なんらかの報告が出される予定である。
ここでは、ざっと、各種委員会の課題、調査内容、構成メンバ—、スケジュール、その後の動向などについて、まとめてみた。

厚生省
「光感受性発作に関する臨床研究班」

●調査課題
光感受性発作に関する臨床研究

●調査の内容
1• 今回のテレビ番組視聴者症例の把握
(1)症状発現者の年齢、性別、病歴、症状
(2)成因、診断、治療、臨床経過
(3)症状発現の状況

2• 原因となる光刺激の物理的条件
(1)映像の点滅速度、強度、色彩、図形等
(2)光感受性と関連するその他の物理的条件
(3)反復閃光刺激の脳波に対する影響

●構成メンバー
山内俊雄・埼玉医科大教授を班長とする医学関係者十三人。•スケジュール九七年十二月二十六日に厚生省にて第一回の会合が開かれ、九八年三月までに報告書をまとめることになっている。

●動向
担当は厚生省精神保健福祉課。当初は光感受性てんかん(PSE)患者の子供たちが倒れたと見られていたこの事件だったが、てんかん患者への差別などに配慮してか、厚生省は比較的早い段階から、事件で倒れたのは、いわゆる光過敏性てんかんの患者だけではなく、もう少し幅広い人々も含まれていると考えていたようである。
その証拠に、すでに九七年十二月十九日の段階で、厚生省は今回の発作の呼称を「光感受性発作」として統一している。
また、進みつつある調査研究によっても、「事件」で体に異常を訴えたのが光感受性てんかん(PSE)の素因をもった人ばかりではないことが判明しつつあるようだ。

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郵政省
「放送と視聴覚機能に関する検討会」

●調査課題
放送番組の視聴覚効果・生理的効果

●調査の内容
1. テレビ番組の表示・表現の効果に関する事例
2. テレビ番組のメカニズム
3. 成長段階ごとのテレビ番組に対する知覚の変化
4. 諸外国の研究状況

●構成メンバー
東大工学部の原島博教授(画像処理)を座長に工学、心理学、医学、放送制作の専門家など十〜十五人。
厚生省と文部省もオブザーバーとして参加している。

●スケジュール
九七年十二月から九八年六月ま
で。九七年十二月二十六日に第一回会合が開かれ、以後、月一回会合を開いた後、三月に中間報告を出す予定。その後、六月までには最終的な取りまとめに入ることになっている。
一定のガイドラインを作るかどうかは未定。

●動向
担当は郵政省放送行政局。厚生省の「光感受性発作に関する臨床研究班」が個別の症例の具体的把握、研究を担当するのに対し、「放送と視聴覚機能に関する検会」は、その名のとおり、放送・映像表現の体に与える影響などの研究、検討を担当することになっている。
今年一月に担当者がイギリスに渡り、テレビ画像の点滅や反復を法的に規制しているITC(独立テレビジョン委員会)のガイダンスの調査を行なっている。しかし、今回の事件は、放送内容ではなく、放送の表現手法についての問題であり、現在の放送法での対応は難しく、また、「表現の自由」などとの兼ね合いから、ガイドラインの策定に関しては比較的慎重のようである。

テレビ東京
「ポケットモンスター調査チー厶」

●調査内容
ポケモン事件の原因の究明と今後の対応策。問題となった九七年十二月十六日放送のポケモン三十八話の午後六時四十一分三十四秒からの四秒間の場面を中心に、映像技術について具体的な調査およびアニメ制作の技術の検討。

●構成メンバー
金沢竜一郎・テレビ東京制作専任局を座長に、アニメ担当のプロデューサーや映像技術の部門のスタッフら計十人。当初は外部の専門家を調査チームに加える予定だったが、厚生省などの調査チームと人選が重なってしまったため、結局、局内スタッフのみの構成となった。

●スケジュール
九七年十二月十九日に第一回の会合が開かれ、その後も随時開かれている。

●動向
事件三日後の九七年十二月十九日に局内調査チームが、イギリスの独立テレビジョン委員会(ITC)のガイダンスノートを参考に暫定的ガイドラインを策定し、ア二メ制作会社二十社に通知。子供向けアニメ番組の放映前には、テレビから離れて視聴するよう字幕の放映も始めている。
また、今年一月には調査チームがイギリスとアメリカに渡り、イギリスの独立テレビジョン委員会(ITC)やアメリカの三大ネツトワークなどを訪問して、放送番組制作の調査をしている。同時に、東京女子医大小児科の「テレビゲーム誘発けいれん」研究班と共同で、関東地区の八十五病院を対象に、症状や番組を見ていた状況などに関するアンケート

189   付録各種調査委員会の動向

も行なっている。しかし、調査結果の一般公表は考えていないという。
なお、テレビ東京は、九七年十二月十七日午後に、ポケモン事件に関して郵政省の聴取を受けている。

社団法人民間放送連盟放送基準審議会
「アニメーション番組の映像表現に関する特別部会」(アニメ映像特別部会)
「アニメーション番組の映像表現に関する顧問会議」(アニメ映像顧問会議)

●審査内容
ポケモン事件の調査、研究および必要な対応策の検討。
「アニメーション番組の映像表現に関する特別部会」がガイドラインなどの検討を進め、民放連の放送基準審議会に答申することになっている。
「アニメーション番組の映像表現に関する顧問会議」はその補助と助言を行なう。

●構成メンバー
・「アニメーション番組の映像表現に関する特別部会」
岡田晋吉・放送倫理小委員長(中京テレビ放送副社長)を部会長とする、‘キー局の考査•技術責任者十一人。

・「アニメーション番組の映像表現に関する顧問会議」
石川哲・北里大学医学部長を議長とする精神科医、児童心理学者、映像技術の専門家ら五人。

●スケジュール
「アニメ映像特別部会」は九七年十二月二十六日に第一回の会合が開催され、九八年一月三十一日に第二回の会合が開催された。アニメ映像顧問会議の助言を得ながら、民放連としてのガイドラインなどの具体策を三月中旬をめどに進める予定になっている。「顧問会議」は、今後、二回ほど開催される予定。

●動向
テレビ東京の局内調査チームやNHK、厚生省や郵政省との調査チームとも連携して資料の収集、調査検討を進めている。
なお、民放連の放送基準審議会は、九七年十二月二十四日に、放送基準審議会「申し合わせ」として、「アニメーション等における視覚的な表現手法として、閃光や、急速に点滅したりする光の画像、また、極端に短い画像などを多用した番組の放送にあたっては、当面、特に慎重に取り扱う」とのコメントを民放連会員各社、アニメ制作関連会社などに出している。

日本てんかん学会

これは今回の事件を直接のきっかけとしてできたものではないが、内容としては類似のものであるので、ここで掲げておく。「日本てんかん学会」は九七年の春に「テレビゲーム誘発発作委員会」を設置し、発作の起きる仕組みや発作の引き金となる事象について調査を始めており、三年をめどに調査結果をまとめたいとしている。
なお、テレビゲームによる光過敏性てんかんは、ー九八七年日本てんかん学会で初めて報告されたものである。

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