Magic of Pokemon/Why did the children fall

From Poké Sources
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子どもたちは、なぜ倒れたか

宮島理

全国で、同時に、子どもたちはなぜ倒れたのか?
事件当初は「光感受性てんかん(PSE)」が原因であると考えられていた。PSEは「大脳の異常から、激しく点滅する光の刺激を受けるとけいれんなどの発作を起こす」(「毎日新聞」二月十五日社会面より)。その後、「てんかん」という言葉が配慮され、「光感受性発作」という用語が使われるようになった。てんかん因子のせいかどうかはわからないが、ひとまず大脳に何らかの異常がある、という解釈に落ち着いた。ところが、「体に異常を起こしたのは、実はPSEの子供だけではなかった」(同)ことがわかる。「問題が起きた直後、厚生省は専門家を集めて研究班を発足させた。これまで、被害者の中から七千大を抽出して症例を調査。発作の起きた場面の特定や誘因の分析を続けている。こうした研究の成果から、子供たちに起きた事態がようやく解明されてきた。症例は、三種類に分類できる。(こけいれん発作(二)吐き気やめまいなど乗り物酔いと似た症状(三)放送後、報道を見て気分が悪くなった——。
光感受性発作は大脳の異常が原因。だが(二)は明らかに自律神経系の異常で、番組にのめり込むなど情動面の原因が指摘されている。また(三)は単なる自己暗示とみられている。
さらに(一)のけいれん発作を起こした臨床例を研究班で調べた結果、中にはPSEの素因がないのに発作を起こしている子供も多かったことが分かった」(同)PSEではないのに発作を起こした子どもたちは「光感受性反応(PPR)」だと考えられている。しかし、PPRとは「脳波を調べると光感受性の反応があるが発作は起こさない」(同)のはず。これではおかしい。
今回の事件で倒れた子どもは六百八十大。本来発作を起こさないはずのPPRの大までもが、発作を起こして倒れたのではないかと推測する理由は、この子どもの数にある。
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「数年前、子どもを対象にPSEの全国調査を行った際は、子供でPSEの素因をもつのは十万大に六〜七大の割合だったという。今回五百万大前後の子どもが『ポケモン』を見ていたとすれば、素因をもっていたのは三百大程度にしかならない。
では、なぜ被害がこれほど大きかったのか。
厚生省の研究班は、今回の問題ではPPRの大も発作を起こした可能性があるとみている。同班メンバーの医師は「問題の番組の光刺激が強いため、光感受性の素因が小さく、通常の刺激では発作を起こさない子供まで発作を起こしたのでは」(同)と推測する。このような研究班の見解に対し、脳機能神経学者・苫米地英大氏は、違った角度からポケモン事件を分析する。
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僕の答えは「光過敏性てんかん」という因子の問題ではなくて、何らかのソフトウェアのメカ二ズムとして、それが(脳の)認知に影響を与えるメカニズムだというところまで行っているんです。それは「変性意識」じゃないかと。
「臨場感」が、今いる自分の物理

く状態を「変性意識」と言います。「変性意識」状態というのは、やり方を間違えると倒れる状態なわけです。子どもたちが食い入るように見つめていたという時には、単に画面に近かったとか光の刺激が強いからというのではなくて、その「臨場感世界」にハマってしまつているわけです。
それと、ハマっている世界からこっち(物理世界)に戻す時に、(戻すタイミングが)いきなりだったりすると、倒れることがあります。あまりにその世界(「臨場感世界」)にハマりこんでいると、それだけで倒れたりする。
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つまり、子どもたちが倒れたのは、「パカパカ」といった手法を使うタイミングを誤ったからだ、ということらしい。画面に集中する子どもたちを現実世界に引き戻す手順が荒っぽかったと。
また、制作サイドの問題についてはこうも指摘する。
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今回のポケモン(番組・事件)
には、本質的な問題点というのはありません。問題があるとすると、そういうことを引き起こした人が意図的なのか、無知だったのかわからないが、やり方がうまくなかったということです。僕は作り手が(「パカパカ」などが視聴者に与える)効果を知っていたと思います。でも、ひっくり返られるとは思っていなかったでしょうね。
アニメを守るオタクと言われる人が「アニメは貧乏だから、ーフレー厶にそんなにお金をかけられない。貧乏だから(「パカパカ」などの)特殊効果をやるんだ」と言っているけれども、あんなに金かけている『エヴァンゲリオン』だって(特殊効果を)使っています。金があるないの問題ではなく、赤青の「パカパカ」がどうやら効くよ、というのが業界内で経験則として出てきたんだと思うんです。
「臨場感」を高める時に、いちばん金がかからないやり方として選択したのかもしれないですね。「臨場感」を高めるひとつのやり方として有効だよ、という知識はアニメ業界の中におそらくあったと思います。
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一方で、視覚的刺激が子どもの身体的発育に与える影響を難じる声もある。橋元良明・東京大学社会情報研究所助教授(コミュニケ—ション論)は、テレビが子守り代わりになっている状況に警告を与える。
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映像の話においては、てんかんの話は氷山の一角で、やはり映像の高いテクノロジーを推し進めて、どんどん子どもに押しつけることが果たしていいことなのか、という問題があるかと思います。大人であれば、テレビはメディァの中のできごとだとわかっていますが、子どもの時に子守代わりに大スクリーンでテレビを見せたりすると、親は知育のつもりでやっていても、問題になることがあります。発達期においては、自分の手足と連動してモノが動くという身体運動は非常に大切なんです。
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ここで、筆者はある疑問を感じた。「テレビに育児をさせてはいけない、という論調が一時期ありましたが、すぐに立ち消えになりました。どうしてでしょうか」。
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それは根拠がないからです。ー種の単なる道徳論なんですね。なんで悪いかという理由がなくて「昔はよかった、昔は大自然に触れてよかったじやないか」「テレビにはいろんな悪い番組が流れますよ」という内容。あまり根拠のない道徳論だから、一時的なブー厶になっても、後に続かないんですよ。なぜそれが悪いのかというちやんとした理由がなければならない。
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事件の原因に関しては、いずれ最終的な解明がなされるだろう。制作サイドの責任問題も近く決着するはずだ。
そしてその後は間違いなく、家庭内の問題になる。否が応でも「メディアと子ども」の問題を考える契機となるのだから。

159  PART-3▶テレビとゲームの時代
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