Game Freak/Prologue

From Poké Sources
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プロローゲ

■近末来ストーㇼー   あるいはーカカ六年の夏

ぼくは、東京のはずれにある、小さな家に生まれた。
お父さんほ、毎朝、ぼくが目を覚ますよりも早く、会社に出かけていく。どんな仕事をしているのか、ぼくは知らない。夜は、ぼくが晩ご飯を食べて、テレビを見て、ゲー厶をして、それから布団に入った頃に帰ってくる。お母さんは、会社には行かない。ぼくやお父さんのご飯を作り、洗濯をして、布団を干して、産まれたばかりの妹の世話をするのが仕事だ。コラッタ(ぼくが名づけた、うちで飼っている茶色い犬)を散歩に連れていったり、水やエサをあげるのは、ぼくの仕事だ。
ぼくの学校は、電車でふたつめの駅をおりたところにある。
学校はきらいじやない。そりゃあ、勉強はあんまり好きじゃないけれど、学校に行けば、たくさんの友達がいる。休み時間には、野球やサッカーの話をしたり、ゆうべ見たテレビの話をする。
学校が終われば、運動場でサッカーをすることもある。運動場が空いていない日は、家が近くて、いちばん仲のいいシゲルと、ふたりで電車に乗って帰る。

プロローグ  2

ぼくは今日、いつものようにシゲルと並んで、学校へ向かつて歩いていた。
シゲルは、待ちきれない様子で、ぼくにいった。
「なあ、今日こそ、持ってきたんだろう?」
何日か前から、ぼくたちは約束をしていた。けれど、ぼくたちのクラスの先生は、ものすごくきびしくて、ぼくはシゲルとの約束を果たせない葬たアシゲルは、先生に見つからなき部芯だから心配することないんだよ、などという。
そうなんだ。気にすることはないんだ。
マンガの本を学校に持ってきて、先生に取りあげうれている子がいた。ミニ四駆を持ってきているのが見つかって、ゲンコツでぶたれた子もいる。それができないぼくは、寅気がないのかもしれない。
でも、今日のぼくはちがう。
今日、ぼくが背負っているカバンのなかには、お父さんにもお母さんも、もちろん先生にも内緒で持ってきた、ゲ—厶ボ—イが入ついるのだから。
「うん。持ってきたよ。どこで交換する?」
と、ぼくはいった。
いま、ぼくたちの学校でいちばん人気があるのは、ゲ—厶ボーイの『ポケットモンスター』だ。少なくとも、クラスの男子のほとんどが持っている。
このゲー厶をはじめてから、ぼくはまだニヵ月くらいしか経っていない。だから、ポケモンはまだ全部集まっていない。

3   プロローグ

だれが、どのポケモンを、どわだけ、持っているか?
この話題で盛りあがるのほ、ただの自慢話とはちがう。だって、友達どうしのあいだで詁がまとまれば、通信ケーブルを使って、ポケモンを交換することができるからだ。
ポケモンは、ひとりで遊んでいるだけじゃ、何年かかっても全部を集めることなんかできない。〈赤バージョン〉と〈緑バージョン〉とで、出現するポケモンの横類がちがうから、自分のとは別のカセットで遊んでいる友達とポケモンを交換しなければ、全種類を集めることはできないんだ。
ぼくは〈赤〉。ツゲルは〈緑〉だった。

放課後、学校を出たばくたちは、駅前のショッピングセンターの入リロにあるベソチに、ふたり並んで座った。ここは、昔は巾営プールだったところで、それがっぶれて廃虚になっていたらしい。お化けが出るっていうウフサもあった。それが去年、とつぜん大きなブルドーザーがやってきて、ぜんぶ壊してしまい、広い空き地になった。そして、その空き地の上に、大きなショッピングセンターが建てられた。
べンチに座ったぼくたちは、カバンのなかからゲームボーイを取リ出した。
シゲルが、ふたいのケームボーイを通信ケーブルでつなぐ。
ぼくたちは顔を見合ねせ、電源を入れる。
聞きなれたテーマ音楽が鳴リ出すと、ぼくにはもう、現実の町の騒音が聞こえなくなる。ぼくの心は、ポケモンの世界に飛んでいくんだ。こわい先生も、疲れたお父さんの顔も、明日の宿題のことも、ぜんぶすぐに忘れられる。

プロローゲ  4

「じやあ、いか。約束通りアーボをくれよな。かわりにお前は二ヤースでいいんだったよな」
シゲルの声に、ぼくは一瞬、現実にかえる。
そう、ぼくたちはポケモン図鑑を完成させるため、お互いがほしいポケモソを交する約束をしていた。もろん、そのためには、一体や二体を交換しただけではダメだ。何度も、何体も交換し、少しずつ完ユに近づけていくんだ。
画面のなかでは、ぼくの用意したア—ボが、こちらを向いて待っこいつと出会ったのは、いつだっただろう——。
たしか、ゲ—厶を買ってきて、遊びはじめたすぐの頃だったと思う。ガラガラ蛇のような尻尾が気に入って、ザばらくは冒険の相棒として連れ歩いていたんだっけ。でも、そいつがほくの〈赤バージヨソ〉では、いくらもゲットできるモンスターだと知ってからは、なんだか愛着が薄れてしまっていたんだ。
だから、というわけじやないけれど、ぼくが、いてたまらないのが、二ヤースだった。
『ポケットモソスアー』の情報がのっている雑誌によぼくの〈赤バージョン〉ではゲツトすることができない。その姿を見ることはできるけれど、自分の仲間としてゲツトするには、シゲルの持っている〈緑バージョン〉じゃなきゃだめなんだ。だから、ぼくとシケルのどちらが先にいい出したのかは忘れてしまったけれど、「この二体を交換しよう」という話が出すぐに、その交渉は成立した。
「ア—ボ……、じやあね!」
ぼくは画面のなかのアーボにお別れをいうと、ゲー厶ボーイの決定ボタンを押した。ア—ボはモンスターボ—ルのなかにおさまり、シゲルのゲ—ムボーイへと続いている通信ケ—ブルに吸い込まれていった。

5   プロローグ

ケーブルを通過しているあいだ、アーボは鳴き声をあげる。
聞きなれているはずのその声は、なぜか、ぼくとの別れを惜しんでいるように聞こえた。
同時にシゲルは、ースをぼくのゲームボーイにXけて送ってくれる。遠くで、ニヤースの鳴き声が聞こえた。今頃、ニャースはシゲルのゲームボーイのなかで、モソスターボールにおさまっているのだろう。
——ゴソゴソ、ゴソゴソ。
ぼくは、聞こえるはずのない音を、でも、まちがいなくニャースが通信ケーブルのなかを転がってくる音を、この耳で聞いた。そして気がつくと、ぼくの手のひらにあるゲー厶ボーイの画面では、二ヤースがこっちを向いて立っていた。
「やあ、ニャース。はじめまして」
ある日ばくは、ひとりで下校した。シゲルは昨日から風邪をひいて、学校を休んでいるんだ。ぼくが歩くのにあわせて、カバンのなかでは、ゲー厶ボーイがカタカタと音をたてている。
ぼくは駅に着くと、改札口をぬけてホー厶にあがる。
電車を待っているあいだ、ぼくはカパンからマンガ雑誌を引っぱり出した。その雑誌には、まぼろしのポケモン・ミユウをプレゼントしてくれるという記事がのっている。自分のポケモンのカセットを送ると、その力セットにミュウを入れて、送リかえしてくれるというのだ。
——すごい! ミュウがもらえるなんて!
早く家に帰ったら、そのあとシゲルのところにお見舞いに行こう。 このことを報告してあげなきや。

プロローゲ  6

きっと、びっくリするぞ。シゲルと一緒に応募するんだ。
電車がホー厶に入ってくる。
ぼくは、雑誌をカバンにしまう前に、もういちどその記事をよく見る。そこには、薄いピンク色で、つぶらな瞳をしたミュウのイラストが描かれていた。
ミュウに触ると、温かいのかな。
きっと、猫のおなをなでたときみたいな感じがするんだろうな。
やっぱり、小さな声で「みゆう」って鳴くのかな。
ドアが開き、ぼくは電車に乗り込んだ。この時間の車両は、いつもガラガラにすいている。ばくは、空いている座席にすわった。
ふと前を見ると、向かい側の席では、ぼくと同じくいの子が、ゲー厶ボーイをやっていた。よその学校の子みたいだ。
やっぱりみんなポケモンを集めてるんだな。
ぼくは少しのあいだ迷つたけれど、勇気を出してその子の前に立った。
そして、思いきって声をかけた。
「あのお、ぼくはサトシっていいますラフレシアを二体持っているんだけど、きみは、キュウコンを持つていないですか? よかったら、交換してください——」

7  プロローグ
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