A Man Who Created Pokemon/Preface

From Poké Sources
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まえがき

ゲームフリークを立ち上げた時、ボールペンで手書きした原稿をコピーして増やし、端をとめただけの素朴な、情熱に溢れたテレビゲームのミニコミ誌がはじまりであった。プレイヤーの視点で語られるメディアが欲しいと気づいた日、1981年の夏だった。テレビゲームを扱うメディアがなかった前時代的状況は、それほど大昔の思い出ではないはずだ。ファミコンの隆盛と共に竹林のようにゲーム誌が生まれ育って以降、情報技術があって当たり前の現代からは想像し難いかもしれない。プレイヤーとメーカーを結ぶコネクションがないのは、情報過疎な寂しい環境であり、とてもいたたまれないものである。当時の私は、少しでもゲームに関わる情報が欲しいと思い、ゲームメーカーにその思いを手紙にして書き送ったこともある。その返信封筒には新型ゲームのカタログやチラシが入っていた。ゲーム少年の胸を躍らせる絶妙なアイテムでメーカーの担当者は答えてくれたのだ。その宝石を手に入れた充実感に満たされ、自身の手で何かができそうなインスピレーションをうけたのだった。
テレビゲームに雑誌編集的なアプローチをしたい一方、もっと強力なゲームの魅力を引き出す方法がないものか、そんなことを考えもした。それは自分でアイディアを練ってみて新しいゲームを作ってみたいというクリエイティビティの萌芽だった。まさにこのタイミングで1981年、セガ・エンタ—プライゼスが「'81TVゲームアイデア大賞」を公募しているのを知ったのである。私はコミカルなキャラクターが跳ね回るアクションゲームを構想し5枚ほどの方眼紙に企画書をまとめ、締め切りぎりぎりにセ

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ガへ郵送した。半年たっても結果がわからなかったので、応募したことすら忘れそうになった頃、セガより連絡が入った。なんと優秀賞を戴いた、との知らせだった。この受賞は若者だった私にテレビゲームを作り続ける原点を指し示してくれたといえる。後日、東京羽田のセガ本社で表彰式が催された。そこで役員の方に「良いビデオゲームは、売り上げのアタック(勢い)とサスティン(持続)2つの要素が高いのです」とさりげなく業界を営業部の視点で説明され、私はますますテレビゲームに対する情熱が刺激されたのだった。この本では、こんな田尻智の個人を投影して、ゲームフリークの変遷が透けて見える仕組みになっている。ミニコミ「ゲームフリーク」は、アマチュアとして攻略法を追求していたが、いくつかのゲーム雑誌の企画編集に参加、職業モデルに育った。私は1986年頃、テレビゲームの研究開発を始めた。以前からアイディアをメーカーに持ち込んでいたがなかなか完成に至らない。なぜか。ゲームの開発現場にいたほうがプロジェクトは進むのかもしれない。アイディアもプログラム開発も大切だと思うなら独立系(インディペンデント)でいいから自分たちでやったほうが納得出来ていいじゃないか。こうした動機で最初のファミコンソフトの開発がスタ—卜した。実際は紆余曲折しまくりで大変なことに挑んでいるプレッシャーと向き合ってこっこつと作り続ける日々であった。完成にこぎっけるまで3年以上かかり「クインティ」は1989年(株)ナムコからリリースされた。ここでロイヤリティを精算するかどうかで、運命の分かれ道。背算したらアマチュア止まりで、資金にして作り続けるならプロフェッショナルへのチャンスがある。私がどちらの選択をしたか。この本を開きリアリティのかけらを見つけ感じられるなら、ゲームフリークがゲームを作り続ける今も見えてくるはずだ。

2004年2月3日 (株) ゲームフリーク 代表取締役 田尻智

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