A Man Who Created Pokemon/p111

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COLUMN 03 - 90年代のテレビゲー厶

テレビゲームの'80年代が、その誕生と拡張の時代だったとすれば、、'90年代前半は爛熟の時代だった。'88年にセガから初の16ビットマシン「メガドライブ」がリリースされていることからも想像ができるように、この頃の〃テレビゲー厶〃は、すでにファミコンの性能では追いつかない発展を見せていた。そうした状況を受けて、任天堂は'90年、ファミコンの後継機にあたる「スーパーファミコン」を市場に投入。八ード性能は飛躍的に向上したものの、基本的にファミコンの流れを受け継いで登場したこの製品は、制作者たちに新たなイノベーションを促すにはいたらなかった。もちろん、注目を集めた意欲作も多かったが、大まかにいってそれらはフアミコンで培われた技法の、さらなる洗練以上のものではなかった。その意味で、'90年代前半は停滞期だったといっていい。では、何がその停滞を打ち破ったのか。前ぶれはいくつかあった。'93年末にアーケードに登場した『バーチャファイター』と、同じく'93年2月に発売された『スターフォックス』。この2作品は〃ポリゴン〃という新たな手法を用いて、モニター画面上に3D空間を描き出した。どこまでいっても所詮、1枚の絵でしかない2Dとは違って、本当に物(オブジェクト)を配置して空間を作り上げていく3Dという技法。〃ポリゴン〃による圧倒的な表現手法の広がりは、翌'94年に発売された2台のマシン——セガ「セガサターン」と、ソ二! コンピュー夕エンタテインメントの「プレイステーション」によって、テレビゲー厶の世界を揺り動かした。そして、もうひとつの方向。それは、任天堂が'89年に発売した携帯ゲー厶機「ゲームボーイ」にあった。決して市場的に成功したとはいえなかったゲー厶ボーイは、たった1本のソフトにより、驚くべき大逆転を収めることになる。そう、田尻智とその仲間たちによる『ポケットモンスター』。〃通信〃によるポケモンの交換をアイデアの核に据え、5年以上の歳月を費やして制作されたこの作品は、当初の予想に反して、大ヒットに。小・中学生を中心に巻き起こった〃ポケモンブー厶〃は、ソフト本体だけにとどまらず、メディアミックス的な盛り上がりを見せた。さらには『ポケモン』の成功を受けて、その後継機「ゲー厶ボーイアドバンス」が発売され、携帯ゲー厶機は、据え置き型の家庭用ゲーム機とはまた別の市場へと成長した。
'90年代中盤の大きな地殻変化からもう10年。ゲームがつまらなくなった、と言われるようになって久しい。さらなるグラフイツクの向上とDVD再生機能を搭載した「プレイステーション2」やマイクロソフトの「Xbox」など、ネツトワーク展開を視野に入れた新たなマシンが登場したが、果たして本当にテレビゲー厶の世界は広がったのか。こうして振り返ると、今の閉塞状況は、驚くほど90年代前半の状況と似ているようにも思える。ビジュアルの進化による成熟、コストの増大に伴う制作現場の疲弊。果たしてこの状況を打破するのは、どんなイノベーションなのか。あるいは八ードの進化とはまた別のところから、それはやって来るのか。2010年、私たちはどんなテレビゲー厶で遊んでいるのだろうか?

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