A Man Who Created Pokemon/Afterword

From Poké Sources
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あとがき

この本で語られているのは率直に言って、田尻智のごく個人的なアレコレではある。しかし、それをただの個人史に終えることなく、日本のテレビゲームの歴史!!決して長くも短くもない25年と重ね合わせることができるんじゃないか。僕がこのインタビューのー番最初に描いていたのは、そんなビジョンだった。そして彼と会話を重ねるうちに、それは次第に確信に変わっていつた……というとカッコよすぎるんだけれど、こうしてゲラを読み終わった今、こちらの想像以上にその予測は当たっていたのかもしれないなあ、なんて思う。そしてこんなことができたのは、間違いなく田尻智という類い希なる〃知性〃のおかげでもあるんだろうな、とも。彼は第4章の最後で「テレビゲームを外に開いていくときに必要なのは、レトリックを獲得することだと思う」と話している。僕もまったく同感なのだけれど、つまり田尻智は今も昔も、一貫して「テレビゲームのレトリックを豊かにする」ために文章を書き、作品を作り続けてきた。少なくとも、彼がいなければ日本のテレビゲームは、今よりもずっと貧しいものになっていたんじやないかな、とは思う。そしてもちろん、事態はテレビゲームだけの問題じゃない。この本のなかで僕と彼はたびたび、日本の'70年代以降の文化状況や社会状況について言及した。その発言には当たつてるところもあるだろうし、間違えてるところも多いと思、つ。でもとにかく、今の“言葉”のままじや貧しすぎるんだ、という想いがその裏っかわにはあった。「(ゲームをつくることで)もうちよつと世界をよくしたいと思ってたからね」という彼の発言は、別にゲーム

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オタクの誇大妄想でもなんでもなく、やっぱり真実なんだと思いたいし。

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なんだか訥々と話す人だなあ、というのが本人にお会いした最初の印象で、どこか数学者っぽいというか科学者っぽいというか、その感じは結局、本書の「第4章」に収められている最後の取材のときまで、ずっと変わることはなかった。単純な計算から世界の秘密を探り当てる数学者、あるいは飽きることなく実験を繰り返した末に驚くべき発見を成し遂げる科学者。長いときには1回の取材が4時間以上にも及んだこの連続インタビューの取材中、僕はときどきそんな風景を(勝手に)思い描いていた。だからこの長い長いインタビューは、スリルに満ちた体験というよりも、どこか哲学者たちの終わりのない会話といったものに近くて、しかしながらその空間はとても心地よかった。この貴重な時間と空間を提供してくださった、田尻氏本人はもちろん、『CONTINUE』編集長の林和弘氏と、引き続き単行本を担当してくれた同編集部の林幸生(通称プチ)君に最大の感謝を。ありがとうございました。

2004年2月6日宮昌太朗

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