Secrets of Pokemon/Introduction

From Poké Sources
Warning: this chapter has not yet been proofread!
The text of this chapter was created through OCR. This process was not entirely accurate. If all pages of this chapter have been proofread, please change the tag to {{Chapter proofread|yes}}.
This chapter has not received a translation yet.
If all pages of this chapter have been translated, please change the tag to {{Chapter translated|yes}}.

2  はじめに

市場規模4000億円のモンスタ一
ポケモンといわれて、まっさきに何を思い浮かべるだろうか。
おそらくは、大きな目玉の黄色いキャラクタ—である「ピカチュウ」をイメ一ジする人が大半だろう。たしかにピカチュウは、ポケモンという名前を大人を含めた社会一般に認知させる要因の一つになった。しかしピカチュウを知っているからといって、ポケモンがわかったことにはならない。
ポケモンは正式には『ポケット モンスタ—』という名称の、もともとは任天堂のゲームボーイのソフトである。
家庭のテレビに接続して遊ぶファミコンが発売されたのが、1983年のこと。そ

3  はじめに

の後任天堂のスーパーファミコン、NINTENDO64、セガサターン、プレイステーション等様々なゲーム機が発売された。これらテレビに接続して遊ぶゲーム機とは 別に、携帯用として開発されたのがゲームボーイである。
ゲームボーイは1989年の発売以来、全世界で累計6300万台も販売されているビデオゲーム機の王様。発売当初はタテ14・8センチ、ヨコ9センチだったが、現在はさらにひとまわり小さく、ポケットに入る大きさになり、ゲームボーイポケットという名称で販売されている。まさにポケットに入れて持ち歩けるゲーム機というわけである。
ゲームボーイはモニタ—画面が小さいうえに、モノクロなので、発売当初はテトリ スなどの単純なソフトが大半で、なかなかストーリー性をもったロールプレーイングゲーム (RPG) のヒットソフトは生まれなかった。
このゲームボーイのためのRPGソフトである『ポケット モンスタ—』は、1996年2月27日に発売された。定価は3900円で、初冋出荷は23万本。
前評判の高いゲームソフトは予約が殺到するため、30万本、50万本の単位で出荷されることが普通である。それから考えると、『ポケット モンスタ—』は期待を一身に集めて市場に投入されたソフトであるとは言い難い。

4

しかし市場に出てから、じわりじわりと口コミで広がり、発売後4、5か月して注文か増えていった。その売れ方は演歌のレコードにたとえられ、同年の夏までに100万本を突破、現在までの出荷本数は実に900万本を越えた。
ソフト業界では、大ヒットソフトになったわけである。このRPGは、それぞれのフィールドで出現するポケットモンスターを捕まえ(ゲット)て、最終的に151匹の「ポケモン図鑑」を完成させるというコレクションの要素が、人気の原因のひとつになっている。
さらに、ゲットしたポケモンを自分の裁量によって育てて、強さのレベルをあげな がら、技を身につけさせてゆく〃育てゲー〃の魅力も備えている。そしてこのゲームの最も大きな特徴は、集めたポケモンを通信ケーブルを使って、他のプレーヤーのポケモンと対戦させたり、交換することができるということである。つまり友達のポケモンと自分のポケモンを戦わせたり、取りかえっこすることでゲームが一層楽しくなる。
また、ソフトのバージョンによって現れないモンスタ—がいたり、通信機能を使わ ないと「進化」しないモンスタ—もいるため、ポケモン図鑑完成のためには通信ケーブルを使ってのモンスタ—交換が必要不可欠となる。

5  はじめに

この通信を必ず行なわなければならないという点が、既存のソフトとはまったく違 う特徴といえる。
しかも151種のモンスタ—は、世の中に存在していそうで、でも実際にはいない昆虫や動物という設定で作られている。
例えば、ピカチュウというのは、ものすごく人見知りの性格で、知らない人が近付 いてくるとほっぺたの赤い部分から高圧電流を流すという、ねずみのモンスタ—。 モンスタ—は、その特性によって草、炎、水、雷、超、闘、ノーマルというカテゴ リーに分類されている。
それぞれのモンスタ—は、特性と技と弱点をもっており、それを考えながら対戦さ せてゲットしてゆく。
ポケモンは、その後月刊誌『コロコロコミック』との連動でコミックの連載が始ま り、各種プレミアムのプレゼントやイベントの実施という広がりを見せてゆく。
またポケット モンスタ—カ一ドゲ一ムが発売され、ゲームのキャラクタ—をより身 近に、しかもコレクションの要素と対戦の要素を明確にした形の遊び方の提案を行なうことで、対象年齢の拡大を狙った。
そしてアニメ化によって一般的な認知度が上がり、関連商品も600種類以上発売

6

され、その市場規模は今や4000億円を突破するまでに膨れ上がっている。ポケモンは、ゲーム発売からわずか2年でどうやって子供たちの心をつかみ、それをどうビジネスに反映させていったのか、その誕生からビジネス展開までを辿ることで、ヒット商品誕生の秘密を探ってゆくとともに未来の商品開発へのヒントとなればと思う。
また、ポケモンというキャラクタ—を生み出し、育て、不況下にこれほどまでの市 場を創り出した男たちは、どんな思いで熱い闘いのドラマを繰り広げたのだろうか。その内側にも迫りたい。