A Man Who Created Pokemon/Chapter 3/Special Collection of "Pokémon" Development Documents

From Poké Sources
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ポケモン資料館絵コンテ&イラスト

インタビュー中でも触れられているが、『クインティ』に続く〃企画No.002〃として制作がスタートしたのが、ほかでもない『ポケットモンスター』だった。ここに掲載したのは、その初期の企画書である。とはいえこの企画書には、手に入れたポケモンを交換する少年たちの様子がテキストとイラストで紹介され、『ポケットモンスター』のコンセプトと可能性が鮮明に描き出されている。また〃交換〃時や戦闘シーンのアニメが絵コンテの形で添付されているが、ほとんど商品版と違いはない。ここに描かれた世界をより深いものにするために、田尻智とゲー厶フリークのメンバーたちは、さらに5年の歳月をかけて作品を練り上げていくことになる。

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●近未来ストーリー(仮説)

『カプセル・モンスター』が発売されて1か月。『カプセルモンスター』はダンジョンタイブのゲームフィールドに、RPGの要素を盛り込んだ怪獣ゲームだ。駄菓子屋さんや街の玩具屋さんの店頭に”ガチャポン”と呼ばれるカプセル玩具自動販売機があるのは、きみも知っているだろう?あのカプセルを集める楽しみに近いといえばいいのかな?

『カプセル・モンスター』は、ゲームボーイ上の仮想地下迷宮に200種類もの仮想怪獣が棲息しているという設定になっている。このゲームの主人公は、”カリスマ度”というこれまで日本人には馴染みの薄かったパラメーター(特性値)を高めていくことによって怪獣と友達になっていく、仲間に引き入れることができるんだ。カリスマ度は『ウィザードリイ』のなかで設定されているんだけど、いままで日本のゲームでこの特性をいかしたものがでてこなかったらしい。もちろん、いままでのRPGと同じように戦闘を通じて倒す代わりに生け捕ったりすることもできるんだけれどね。

ところで、200種類を越える怪獣のなかにはなかなか出会わなかったり、なかなか仲間になってくれなかったり、出会うチャンスを逸すると永遠に捕らえることができない怪獣たちがいる。”幻のモンスターたち”と、それは友達のあいだで呼ばれていた。

僕は、たまたまなんだけど、地下4階のダンジョンの隅のほうにごく稀に出現するグリーンドラゴンを3匹持っていた。1匹捕獲するのに、あるレベルのプレイヤーズ・キャラがあるエリアで平均2時間頑張らないといけないっていう幻のキャラだ。友達の卓司は、グリーンドラゴンをもっていない代わりにファイヤーフライを2匹仲間にしている。

放課後の教室で『カプセル・モンスター』の話が盛り上がっていた。誰が、どの幻キャラを、何匹持っているか。この話題で盛り上がるのはただの自慢話とちょっと違う。ゲームボーイには通信ケーブルがついていて、僕ら友達のあいだで話がまとまれば、通信ケーブルを使って怪獣の交換ができるのだった。だから、僕らが盛り上がっていたのは、どのモンスターとどのモンスターを何匹交換するか、交渉していたという訳なんだ。

僕と卓司のあいだで交渉がまとまった。卓司が、僕のグリーンドラゴン2匹と卓司のフアイヤーフライ1匹を交換しようというので、僕は、それじゃあ少し釣り合わない。他に兵隊役として期待できる力持ち怪獣パワーキングを5匹つけろといって、そこでお互い手を打ったのだ。バワーキングは、出現頻度が高くてダンジョンをうろうろしているとすぐに出てくる怪獣。ただ力が強いので、いつばい持っていると、他の怪獣と出会ったときに兵隊の役をつとめさせるというのがセオリーなのだ。僕と卓司は通信ケーブルを接続して怪獣を交換した。怪獣データが転送されるとき、効果音がゲームボーイから流れる。それが僕らには怪獣の泣き声に聞こえた。

『カブセル・モンスター』は、口コミを伝ってヒットした。電車での登下校の途中、他校の生徒がこのゲームをプレイしているのを見つけて、僕は通信ケーブルを学生鞄から取り出して言った。「あのう、僕、ファイアーフライ1匹とグリーンドラゴン1匹持っているんですが、きみは何を持っていますか? 良かったら、交換しませんか?」

『ポケットモンスター』は最初の企画書では『カプセル•モンスター」という名称であった。その企画書より。『カプセル•モンスター』発売後、どのように受け入れられ、遊ばれるのかを田尻氏が物語調に予測したもの。

ゴース VS. ヤドン

『ポケモン』独特な世界観のひとつである戦闘シーンのイメージイラスト。鞭を持つキャラクターも見受けられる。

カラバジス VS. ミミー

ポケモン同士の戦い。杉森氏の躍動感あふれるイラストは田尻氏のゲームデザインを忠実に代弁している。

オープニング絵コンテ
『ポケットモンスター赤・緑』のオープニングアニメの絵コンテより。プレイヤーに背を向けたポケモンとプレイヤー側をにらむポケモンが戦うシーンは、田尻氏の言う「説得力を持つ空間のイメージ」が、この場面でも活用されているのがわかる。『ポケットモンスター赤•緑』のリメイク作品である『ポケットモンスターファイアレッド•リーフグリーン』でもこのオープニングを踏まえたつくりになっている。

ポケモンは、戦いや交換のアイテムではなく、「冒険のパートナーにもなる」という世界観がわかるイラスト。

G A M E F R E A K

カプセルで捕獲アニメ絵コンテ
ポケモンとの遭遇から、モンスタ_ボ_ルを使い、捕獲するまでのー連の動きが描かれた絵コンテ。モンスターボールでどのようにポケモンを捕獲するのかを詳細に描いている。

G A M E F R E A K

カプセルで捕獲アニメ絵コンテ(2)
捕獲失敗時のアニメの変化や捕獲時のモンスターボールが転がるギミックなど「ポケモンを捕獲する」というアクションへのこだわりが非常に感じられる資料のひとつである。

交換や捕獲でポケモンを手に入れるだけでなく、「お店で買う」という初期のアイディアを知ることができる。

ポケモンを捕まえるための道具、モンスターボールの設定資料より。細かい仕様や品番まで設定されている。

通信転送アニメ絵コンテ(1)
『ポケットモンスター』が爆発的にヒットする最大の要因である、通信ケーブルによるポケモンの交換。その交換画面をあらわした初期段階の絵コンテより。「すいこみ口」がユニーク。

通信転送アニメ絵コンテ(2)
ゲームボーイで転送している様子を描いて、わかりやすさに重点を置くなど、「交換する」ということを画面でどのように伝えようとしていたのか、そのアイディアがうかがえる。

通信転送アニメ絵コンテ(3)
「交換相手へメッセージを送る」などのアイディアも見受けられ、プレイヤーにポケモンをただのデータではなく、生き物としてどう感じさせるかも描かれている資料のひとつ。


ポケモンが荷物を運び、人と歩き、檻にも入っている。ポケモンと人間との関係性を1枚で描いているイフスト。

ポケモンの最大の特徴である交換のための 「交渉」。その場面をユーモラスに描いたイメ ージイラスト。

「ホテル」の一室にて。回復装置でポケモンを 回復している姿など、科学とポケモンと人間 がどのように共存しているかを表している。

「ホテル」という存在が初期段階にあったことをうかがい知ることができる貴重なイメージイラスト。


photo MUNENORI NAKAMURA


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